ひっくりかえした、宝箱。

この瞬間、きっと夢じゃない 。

霞んだ景色の片隅で。

 

社会人2年目。世界は目まぐるしく変わる。日に日に増えていく感染と死にまつわる数字。それでも、ガタンゴトンと揺れ動く四角い箱と家との行き来を繰り返す。「まだ働ける場所があるだけよかったね」、なんてメールが届く。たしかにそれはそうかもしれないのだけれど。どうしてだろうか、なんだか息がくるしいのは。毎年地元の家の近くにはこの時期薄紅色した桜が満開で、今年は連休が取れそうだから帰ろうかな。なんて思っていたけれど、そんなわけにもいかなくなってしまったから。だいすきなアイドルにも会えなくなってしまったから。思わずため息がこぼれてしまう。

 

 

春はよく涙をこぼす季節だった。大切な仲間とのお別れ。何があろうとステージに立ち続けようとする精神。幕開け真紅の大階段の頂にひとり堂々と立つ姿。眩い輝きのオリジナル曲に融合してメンバーと放った飛び立つような圧倒的な存在感。大吾くんを観てきた思い出を、あまじょっぱい涙で煮からめて、宝箱に入れられるように固めてきた気がする。

 

 

今年の春は、念願の東京で。

 

でも、祈っても抗えないものはある。ポッキリと折られた思いは行き場を失って彷徨い果て、一面に霞が籠む。

 

何度目のため息か。通勤の帰り道、視線を下げたそんな時だった。足元にはぷっくりとした真っ赤な花。と、同時に脳裏に蘇るはあの一面赤で染められた光の景色。だいすきな貴方を、なにわ男子の赤色を背負って立つアイドルとして応援できたあの日の景色。忘れられないよ。

 

 

君が居てくれたら (今)
もっと強くなれる (Future)
必要な力なら 全て求めよう

 

そう歌う貴方に。あの日の景色のような力強く温かく、やさしい、でも絶えない灯火を。どうかこれからも届けていきたい。関西ジャニーズJr.で、同期がこのメンバーで、なにわ男子で、よかったって。これまでもこれからも思ってもらいたい。アイドルとして生きる貴方が在ることのできる理由がいっぱいつまっているはずだから。もちろん全部はこちら側からは見えないけれども、貴方の行動を、言葉を、仕草をみていればわかる気がするよ。アイドルになってくれてありがとう。アイドルを続けてきてくれてありがとう。

 

霞んだ世界でも、晴れた日常の春を思い出させてくれた貴方に感謝をこめて。贈ります。

 

赤いチューリップの花言葉のひとつ。

「believe me(私を信じて)」

 

そんな言葉を自信を持って届けられるように応援したい。そんな花言葉で溢れた、貴方が愛おしそうに見つめる真っ赤なチューリップ畑の景色を届けてあげたい。7人でどこまでも天高く飛び上がろう、まっ黒な闇も手を出せないような世界に。夢掴んで、花咲かせようね。

 

大吾くん、入所9周年おめでとう。