ひっくりかえした、宝箱。

この瞬間、きっと夢じゃない 。

2020-01-01から1年間の記事一覧

優しい心と夜と。

道端にオレンジ色の小路ができていた。 ほのかに薫る甘く惹きつけられるような金木犀もすっかり散ってしまった。 そんな景色も香りも、今はない。 ここにあるのは、夏から秋へ、そして冬に近づく匂いだ。 衣替えをせねばと衣装ケースを引っ張り出すと、「あ…

あの子の息遣いとおたくの夏の記録。

言葉にするかどうしようか、 打っては消しての繰り返しをする日々だった。 こわかったのだ。 でも、ゆっくりと深呼吸をして、 一歩だけ足を踏み出してみようと思う。 久々に文字を打っているので、 どきどきしているうちに乾いてしまった唇を キュッと噛みし…

霞んだ景色の片隅で。

社会人2年目。世界は目まぐるしく変わる。日に日に増えていく感染と死にまつわる数字。それでも、ガタンゴトンと揺れ動く四角い箱と家との行き来を繰り返す。「まだ働ける場所があるだけよかったね」、なんてメールが届く。たしかにそれはそうかもしれないの…

輝くあなたの灯火に

鏡に映るように、瞳のなかに映っているのはゆらゆらと揺れる淡いオレンジ色の灯り。ゆっくりと1音1音を確かめるように刻まれるギターの音色。喉から発せられ空気の密度の濃淡が、周りの空気を振動させて波が生まれる。その波にぷかぷかと浮かんでいるかのよ…